ニーズに応じた米づくりで合理的な経営を

氏 名
年 齢
就農地

就農年次




茶木 俊文(ちゃき としふみ)

39歳
富山市
平成25年

【自家就農】

― 現在の経営の概要を教えてください。

 面積は30haです。水稲が主で、転作で大豆と飼料用の稲も少し作っています。 ほとんど私と両親だけでやっていまして、小さい設備の中で仕事を回していくために、ある程度作期がばらけるよう工夫しています。

― もともとご実家が米農家をされていたそうですね。最初から家業を継ぐつもりだったんですか?

 いや、もともとは全然やろうと思っていなくて。高校・大学も農業は関係ないところです。 卒業して機械の製造メーカーに就職して、そこに12年ほど勤めました。

― では、就農されたきっかけというと?

 特にこれといって大きなきっかけはありませんでした。 でも自分も親も年を取りますし、他にやれる人がいないというところで。 転職するなら35歳までかなと。 このまま会社に勤めていたら後悔しそうな気がして、どうせなら一回やってみるかという感じでした。

― 就農してからこれまでを振り返ってみての感想は?

 仕事柄、家にいますよね、朝も夜も。 子どもといる時間はメーカーで働いていた時よりも長くなりました。 その代わり土日はないですけど、毎日朝晩家族で一緒に過ごせるのはいいです。 あと無駄遣いしない。それに規則正しい生活だから、健康にもいいですよね。 日の出とともに起きて、暗くなったら寝る。人間としてまともなような気がします。

― 生産物はどのように販売していますか?

 大体農協です。また、少しですが直売もやっていますし、卸にも出しています。 富山県で代表的な米と言えばコシヒカリですけど、業者さんにはむしろ、ほどほどの食味で安価な米のほうが需要があります。 だからうちは、そういうニーズに合わせた品種も作っています。
 だって、米は余ってますから。余っているものを作って生計を成り立たせようとしてるんだから。 ただ余ってるとは言え、その中でもどんな米が欲しいかというのはやっぱりあるはずなので、それに応えていくことがこの先は必要かなと思います。

― 今後の目標や抱負、新たに取り組んでみたいことは?

 今後はこの辺りで農家を引退される方がもっと出てくると思うので、そういう方々の田んぼも請け負っていきたいです。 現在も23haほど地権者の方から田んぼをお預かりしていますが、面積が増えてもちゃんとやっていけるようにしていきたい。 農業もいろいろで、メディアに取り上げられるような目新しい事業展開のやり方もありますが、私はそういうことにはあまり興味がないですね。 それよりもこの地面を守っていくほうが大事。米づくりを通して、土地を荒らさずに守っていく。 そういった形で地域を担っていけたらと思っています。

― これから就農を考えている方へのメッセージやアドバイスを。

 サラリーマンとは全然違いますよね、時間でお金をもらえるわけじゃないし、休みもしっかり決まってるわけじゃない。 だからそういう、時間を切り売りする感覚の人はやらないほうがいいと思います。 そういう気持ちで働いていると農業はあんまりおもしろくないですし。
 だけど、社長になりたいとか、自分で仕事を完結したいという人には、向いていると思います。 手をかけた分それだけ得られるものも大きいですから。