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オリジナルアイスクリームの夢をもって


長井 竜也 氏 名:長井 竜也
年 齢:36歳
就農地:砺波市
就農年次:平成15年



富山県内の酪農家は減ってきましたね。

   昭和60年(1985年)頃の260戸ほどをピークに減少しています。今は、当時の1/5の53戸になりました。
   

乳牛を飼っている規模は?

   平均的なところでは30〜40頭。うちの場合は、今搾乳している牛が約70頭です。
   

元々は長井さんの祖父の代から酪農を始めたとうかがっていますが……。

   昭和17(1942)年に、じいちゃんが乳牛1頭を借りてきて、試験的に搾乳を始めました。その後、徐々に牛を増やし、私の母が嫁いできたころには20〜30頭だったそうです。それを一気に増やしたのは私の父で、多い時には180頭ほどいました。
   

物心着いた時から牛が身近にいたわけですから、迷うことなくこの道へ?

   というより私が高校生の時に父が他界し、やらざるを得なくなったのが本当のところです。といっても、高校生の私には酪農の知識も経験もありませんから、それを学ぶための大学へ行かせてもらいました。
   

そうすると大学を卒業してすぐに就農された?

   そうです。母親や親戚が必死になって守っていてくれたのですから、すぐに仕事に就きました。でも4年した時、アメリカの酪農家の家で研修を受ける話があり、手を挙げて1年間、向うで酪農を実践的に学ぶことになりました。そして27歳の時に帰国して、それ以降はこの牛舎での仕事一筋でやってきました。
   

アメリカでの研修後を本格的な就農とすると、やがて10年になりますが、10年を振り返っての感想は?

   思っていたより、世の中の影響を受けやすい商売だと思います。BSEや口蹄疫の問題が出ると、富山では1例も報告されていないのに、商品の買い控えが起きる。バイオ燃料の関心が高まると、穀物価格が跳ね上がって飼料代に跳ね返ってくるし、為替相場の変動が飼料代を直撃することもある。搾乳されたミルクの卸値は決まっていて、交渉によっていくらかでも値上げされることはないのです。
   

経営の安定という観点から長井さんの酪農業をみた場合、何頭くらいの飼育がいいのか?

   100頭くらいです。常時100頭搾乳することができれば、牛舎の維持費、人件費なども十分に出てくると思います。その100頭を安定的に搾乳できる状態に保つことが、結構むずかしいのです。牛から搾乳できるというのは、その牛が妊娠・出産のサイクルを常に繰り返している状態にあるからです。乳牛の場合は、産後3カ月ほどしたらまた次の妊娠をさせるのが理想ですが、これがなかなか大変です。
   

ここでの牛の飼い方に特徴はあるのですか?

   フリーストールの飼い方をしています。牛をつながずに、牛舎内を自由に歩き回れるようにして飼う形態のことです。ストールは、パイプなどで仕切られた1頭分ずつの休憩場所のことで、自由に出入りできます。このため、個々の牛の休む場所が混み合いませんし、清潔さが保たれ、敷料が少なくすむ。また、つながれない分、牛のストレスも軽減されるとみられています。このスタイルは、ある程度の規模の牛舎でないと採用できないのですが、父が200頭飼育を前提とした牛舎を残してくれたのでできるのです。
   

先ほどのお話から、搾乳頭数を100頭くらいに増やす計画、あるいは夢があるようにうかがえますが、他には?

   牛乳の加工品を販売してみたいと思っています。もっと具体的にいうと、例えば、うちで絞ったミルクでのアイスクリームを販売する。建物は、あまりお金をかけずにプレハブみたいなものでもいい。その近くに、子牛、それから、うさぎや山羊などと触れ合えるミニ動物園があってもいい。そして、できれば異業種の友人・知人達にも協力してもらって、さらにお客さんに楽しんでもらえるような憩いの場を、地元に作るのが夢です。
   

牛は、今日は土日だから乳を出すのを休もうかとはいいませんね。休みってとれます? 休みがとれたら何をしていますか?

   搾乳の時間は朝と夕方ですから、日中は結構余裕がありますし、また事前に搾乳のローテーションを調整しておけば休むこともできます。実際、時々私は、柴垣などの石川県の海岸で、サーフィンを楽しんでいます。日中、ぱっと行って1〜2時間楽しんでさっと帰る。
   

サーフィンはいつから?

   アメリカから帰って、2年くらいした時からです。友人に誘われて海にいったら、最初は大変だったけど楽しくて、やり始めたら結構はまりました。
 

  ■現在の経営状況
乳牛 120頭(子牛含む)
(一部、堆肥の販売)


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