人と違う、変人に

野畑 宣久 氏 名:野畑 宣久
年 齢:33歳
出身地:黒部市
就農年次:平成18年



農事組合法人「ファームとちや」に就農されたきっかけは?
家族、そして地域の人々を大切にする野畑さん。 もともとは生地の者ですが、結婚して婿 入りしました。妻の実家が「ファームとち や」という営農組合を運営していたんです。 就農するまでは、大工を10年していまし たが、年に数回は農作業を手伝うことになっ ていたので、そのたび休まなければならな かったんです。そのうち、大工と農作業の 両立が困難になってきたことが、就農のきっ かけですね。また、子供がちょうど小学校 に上がった時だったので、この仕事なら子 供に何かあった時にすぐ帰れるだろうと思 えたのも、大きな理由のひとつです。「ファー ムとちや」はその後法人化し、今は自分を 含めた専従2人が年間雇用されています。

ご実家は農業はされていたのですか?
 全くしていませんし、農業に対しては何のイメージも持っていませんでしたね。なので、ここで初めて農業をしました。年に何回か農作業に出ていた時は言われた通りに動いていただけで、大工の時の方が1人で家1軒任されていたので大変だったから、農業は大変だと思いませんでした。就農当初は、家族から「ストレスがたまらなくなったね」と言われましたね。だからか、10kgぐらい太りましたよ(笑)。でも、最近はストレスがたまってきていますね。

ストレスがたまるようになったのは、責任感が増したからで、
  やり甲斐も感じられているのでは?
 最初は知らないことだらけだったから、今よりもやり甲斐がありました。今は自分で段取りをしなければいけないし、稲刈りや田植えなど、ほとんど自分が作業を決めているんですよ。

いつぐらいから段取りを任されるように?
 段取りをしないと仕事が進まないようになったので、知らない間にそうなっていましたね。水稲は、3年ぐらい経てば大体分かります。他にも麦、豆、ネギ、そばを作っていますが、「できることは自分たちでやろう」と、専従の2人で話しながら取り組んでいます。組合員の人やアルバイトの人に手伝ってもらうこともありますが、大変なので、もう1人増やしてほしいと言っています(笑)。

今の課題などはありますか?
 1人増やしてほしいのは、違うことがしたいから。今はもう米だけじゃ食べていけないのは分かっているから、「ミカンを作ろうか」「ネギを5ha増やそうか」など色々なことを考えています。ミカンは10年以内に作れるんじゃないかと言われているので、その前に基盤を作っておかなければいけません。今から何かを始めていかないと、経営が困難になると思うんですよ。

経営のことも考えられているのですね
 理事の方と一緒に考えています。今は情勢がころころ変わって、何もハッキリしないので、どう動いていいのかが分からないんです。先の計画が立てられないことが、歯がゆいですね。

農業から得たことはありますか?
 地域のおばあちゃんやおじいちゃんと話をするのがうまくなりました。水を見に行ったり、苗を植えに行ったりした時に、「休まっしゃいよ」と話しかけられたりして、この地域で自分の顔を知らないお年寄りはほとんどいないんじゃないかと思うぐらい(笑)。

農業のいいところは?
 もう生活の一部になってしまったので、何がいいのか悪いのかよく分かりませんね。ただ、時間の使い方も仕事の中身も自分で自由にできるのが、いいところといえばいいところなのかもしれません。

新規に就農する方にメッセージを
 自分のやりたいことを目標を持ってやればいいと思います。もし、自分で経営をするのなら、これからはいかに儲けていくかということを考えていなければならないと思います。そのためには、人と同じことをしていてもダメで、いかに人がやっていないことをやるかが肝心。田んぼアートをしている人がいますが、ああいう発想をするために、変人にならなきゃいけないんですよ(笑)。でも、成功すれば、変人ではなくなりますから。

■現在の経営状況(平成23年)
水稲 30ha
麦 6ha
豆 10ha
ネギ 0.2ha
そば 1ha


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