▲もどる
■
■
後を継ぐことは、すべてを継ぐこと
氏 名:扇浦 竜昭 さん
年 齢:32歳
出身地:氷見市
就農年次:平成19年
農業に対するかつてのイメージは?
18歳の時、農業が大嫌いだったんですよ。かっこ悪い仕事だなと思っていました。それで、運送業やアルミ会社、自動車会社など色々な会社に勤めましたが、26歳ぐらいから会社が面白くなくなってきて、30歳になる前に就農しようと思いました。
就農のきっかけは?
運送業をしていた時に1人で仕事をするのが自分に向いていると分かったんです。その点で農業はいいのかなと思いましたね。それと、仕事には甲乙丙がないという気がしてきたのも大きかったです。あと、大きな理由は、ものすごく機械が好きなこと。何でも直せるし、操作もかなりうまいと思います。自分で言うのもあれだけど(笑)。
もともと機械が好きで?
小さい時から好きで、特に車が好きでしたね。トラクターもすごい好きで、乗って楽しんで、直して楽しんでというような感じ。半分道楽みたいなもんです。特に古くて汚いトラクターが好きなんですよ。どこかで拾ってきたようなトラクターで1,000万円の仕事をするのが魅力的だと思っています。最低限、田んぼに入って間に合うように、自分でバラして直すんですよ。なので、修理費はかからないですね。
農業はお父さんの代から?
そうです、父が初代ですね。米とリンゴを作っていますが、それは父が築いたものであって、自分はそれに乗っかっているだけ。もともと両親は刺繍をやっていましたが、近所の人に田んぼを頼まれたのがきっかけで、規模が拡大していったんです。その頃に刺繍が全部中国に取られたので、父は本格的に田んぼをするようになりました。
こちらのお米の特徴は?
エコファーマーの認定を受け、特別栽培米というお米を生産しています。粘りが強いと言われますね。父は刺繍をやめた15〜20年前、急に堆肥を撒き始めたんですよ。父いわく「最低10年撒いて味が変わってくる。そんなに早く土壌はできない」らしいですね。米の土壌を作るのにお金をかけて努力していますが、やっとこやっとこです。稲作については少しずつ分かるようになってきましたが、やっぱり生き物って苦手です。難しいですね。機械みたいに原因がハッキリしていないんですよ。でも、生き物って意外と強いので、最近は何とかなるんだなということが分かってきました。
販売方法は?
近所で直接買いに来てくれる人や、県外でまとめて買ってくれる人、通販で買ってくれる人もいます。
リンゴは何年前から?
10年前ほど、父がリンゴをすると言い始めて、夜中にユンボのライトを点けて田んぼを普通の斜面にしたんです。そこに魚津でリンゴ園をしていた人から分けてもらったリンゴの苗木を植えたんです。自分もスコップで穴掘りをしました。
今はふじがメインで、こうたろう、陽光の3種類ですね。「スーパーのリンゴとは全然味が違う」と言われます。新鮮なんでしょうね。堅くてあまり大きくなく、旨味が濃縮されているので美味しいと思います。
役割分担は?
全くないですね。父が段取りをしているわけでもなく、自分で忙しいところに出向くというような感じです。母は伝票を書いたり、荷造りをしたりしています。暇な時はバイトもしますよ。鉄工所や土方など忙しいですね。色々なことをするので、人材派遣みたいな人間になってしまいました。
お父さんから学んだことは?
父から受け継いだものって、人間関係かもしれません。農業をするようになってから、今までは知り合えなかったような人と接するようなことが多くなってきました。だから、父の仕事を受け継ぐことは、仕事だけでなく、人間関係も含めてすべてを受け継ぐことなのかなって思ってきましたね。最低限、父と一緒のことをしないと、今の生活を維持することはできないと思います。
これからの目標は?
まずは、自分の足元を固めようかなと。
将来的には自分1人でできるような環境にしたいです。先のことはまだ考えていませんが、農業である程度儲けたお金でレストランのオーナーをしたり、リンゴや米を使ってサイドビジネスをしたいなとは思っています。
新規に就農する方にメッセージを
努力すれば必ず報われる、かな。年に1回、必ずいいことがあるということです。すぐお金になるような仕事じゃないので、安定していませんが、収穫の喜びというのは分かると思います。
■現在の経営内容
水稲 938.4a
ハトムギ 40.0a
リンゴ 70.0a
■将来の経営構想(平成23年以降の目標)
・質の向上
社団法人 富山県農林水産公社
〒930-0096 富山市舟橋北町4番19号(富山県森林水産会館6階)tel076-441-7396 fax076-444-3851