どれだけの山に登るか、決めるのは自分

氏 名
年 齢
就農地

就農年次




澁谷 智文(しぶや ともふみ)

33歳
南砺市
平成14年

【自家就農】

― 現在の経営の概要を教えてください。

 株式会社渋谷農園は、自分と父、母と従業員4人、常時雇用が4人、繁忙期に臨時でパートや近所の方々2、3人に手伝いに来てもらっています。 経営面積は、水稲25ha、大麦12ha、玉ねぎ1haの合計約38haです。 うちは大麦と玉ねぎの後に加工米を、二毛作を行っているんです。 総収量は年間40〜50トンほどです。

― 就農までの経緯を教えてください。学校を卒業されてすぐ就農を?

 はい。もともと父が米農家をしていて、小学校高学年の頃から自分が継ぐものだと思っていました。 だから高校も地元の農業科に進学しました。

― 就農して15年経ちますが、振り返ってみての感想は?

 就農して最初の10年は父に言われたことをただやっていただけでした。 父から私に経営移譲したのが約7年位前で、それから2年ほどで株式会社を設立したんですが、その頃から徐々に自分がやっていくんだという感じで責任感が増しましたね。 仕事を山に例え、「どれだけの山に登りたいか」という言葉を父がよく言っていまして。 どれくらいの規模の経営面積が必要とか、どういうふうな内容にしていく等を常に頭で考えながら仕事をするようになりました。

― 二毛作でしたね?一年間の仕事の流れを教えてください。

 春先は水稲の準備、田植え、その後に玉ねぎ・大麦の収穫。それが終わったらまた水稲の田植え。 5〜6月と2カ月くらいずっと田植えをしています。 それはうちの特色です。7〜8月は草刈りと水稲の防除。 8月下旬から稲刈り。稲刈りが終わったら大麦の播種。 その後にまた稲刈り。稲刈りが終わって次は玉ねぎ。その後に植え込み…ですね。 冬は水稲用の機械の整備や、水稲用の土を作ってます。苗作りに使う土を自家で作ってます。
 あと、うちはもう一つ特色がありまして。 自然乾燥っていう、籾を入れて保存しておく機械があるんです。後から籾を摺るために。 今やっている玉ねぎの定植が終わったら、籾摺りをして米を出荷します。

― 特に印象深かったことは?ご苦労されたこととか。

 加工米は始めて6〜7年になりますが、二毛作なので6月の中旬に植えるんですけど生育期間が1ヶ月以上短縮されるので、穂の数が少ない、籾の付きが少ないんです。 だけど、普通に5月から植えたものと同じくらいの収量を上げないといけないという契約がありまして、毎年苦労してたんです。 それが今年はやっとまともにできたかなと、まだ途中ですけど。 今年は苗もいい感じに育ったし、細かいことを言えば田んぼの起こし方、新しいロータリーを入れて水持ちを良くしたりとか、基本的なことなんですけどそれをしっかりやれたかなと。

― 今後の目標や抱負、新たに取り組んでみたいことはありますか?

 目標は経営面積の拡大です。そして田んぼ一枚一枚の管理をしっかりと。 面積が増えると手をかけるのがどうしてもおろそかになりがちなので。 お客様から貸していただいている圃場なので、丁寧にやっていきたいなとは思ってます。

― これから就農を考えている方へのメッセージやアドバイスを。

 今まで経験したことのない方には、イメージと現実の違いがあるかもしれない業種ですけど、農業は作物を育ててそれがうまく成長すると嬉しいものです。 なので、そういうのが少しでも感じられたらやっていけると思います。 これから始めようとお考えの皆さんには、ぜひ頑張ってほしいですね。