ふるさとで何かを生み出していきたい

氏 名:上野 達也 さん
年 齢:35歳
出身地:氷見市
就農年次:平成13年



主に何を作られているのですか?
 本業はブルーベリーの生産で、他に山うども作っています。

ブルーベリーの生産の流れは?
 品種によって違いますが、収穫期は6月から8月くらいまで。収穫期間は1株で3週間ほどですが、早生、中生、晩生をうまくつなげば3ヶ月間ほどの収穫が可能です。あとは年間の周年管理として、草刈りや園地の清掃、害虫や病気の対策などをしていますが、この作業が非常に大変なんです。樹は植え替えることができないので。ただ、土づくりを含めて経済寿命は30年以上なので、長期的な視野が広がっていますね。


なぜ就農することに?
 6年間旅行会社に勤めていたのですが、会社での自分の将来像が見えたような気して、もうひとつの人生を考えるようになったんです。そんな時、1番に浮かんだのが農業でした。農業に携わった経験も憧れもなかったのですが、ひとつの場所に定住して体を張って自然に関わり、自分で何かを生み出せる仕事だと思ったからです。退職後、とりあえず実家に帰って市役所の農政課を訪れてみたら、新規就農の話がトントン拍子に進んで。石川県柳田村(現能登町)のモデル農場で2年間の研修を経て開業しました。

なぜ故郷でやることに?
 地元を基盤として何かをやっていきたいと思ったからです。なぜかというと、生まれたところで好きなところだから。今は過疎化が進んでいますが、色々なものが出来上がっているところよりも、自分が手を入れないと出来上がらないというか、そういう場所にいたかったので。喫茶店も町中の喫茶店とはまた違うものを感じとってもらいたかったから故郷に造りました。僕は自分のことを勝手に「いなかいすと」と名付けていて、「地域生活主義」という意味なんですけど、地方から感じとれることや見えることは色々あると思うんですよ。

喫茶店があることでより広がりが?
 農業というものは複合産業だと思っているんです。僕にとっては、1次産業だけだとすごく単調なんですよ。それはそれで楽しいんですけど、人と触れ合うことも大事なことなので。氷見市には今、僕だけじゃなくて、他にも色々取り組んでいらっしゃる方が増えているんですよ。木工家具職人とか、陶芸職人とか、パン職人とか、ガラス職人とか。ほとんどの方が県外で生活した経験を持つUターン組なんです。ここにはそういう隙間があるんですよ。何かをゼロから始めたいという人にとってはいい環境なんですね。

上野さんの現状は?
 最近、ちょっとは認めてもらえるようになったのかなというところです。地元の人は甘くないんですけど、有り難い存在なんですよね。姿勢を正して何かを言ってくれる人が近くにいてくれるので、やっていけるんだと思います。

そういうことがやる気に?
 基本は自分が楽しむこと。人目ばかり気にしているのではなくて、自分が楽しめればいいという。でも、自己満足で終わってもいけないので。喫茶店に関しても、お客さんが求めるものに応えようとすることで楽しみが出てきますしね。今は全部が切り離されていますが、みんなどこかで集まりたがっているんですよ。だから、その受け皿になれればなと思って。もちろん現場も拡充していかないといけないんですど。ブルーベリーがあってこそなので、それが消えたらすべてがイミテーションになってしまいますから。


新規に就農される方にメッセージを
 僕が自分に言い聞かせていることなんですけど、辞めないうちは失敗にはならないので、新しい生活を手に入れ続けたいのであれば、辞めないことですね。諦めずに続けていくことだと思います。

■現在の経営状況
 ブルーベリー園 0.65ha(他0.3ha造園中)
 ブルーベリー苗木用ビニールハウス   
         2棟 250平方メートル
 喫茶店(加工所)1棟 50平方メートル
 山うど畑    0.1ha

■将来の経営構想(平成22年以降の目標)
・ブルーベリーの栽培面積の拡大と生産量の増加。
・喫茶店のサービスをより一層充実。
・現行のジャムづくり体験の他に各種体験教室やイベントを提供し情報発信。
・周辺の村おこし活動に携わる方々と連携を深めてファンやサポーターを育成。


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