コミュニケーションが、一番大切

氏 名:山川 史生
年 齢:34歳
出身地:砺波市
就農年次:平成9年



就農までの経緯を教えてください
 大学を卒業してから1年間は会社に勤めていましたが、その会社を辞めて海外に行こうと思っていたんですよ。ワーキングホリデーという制度を使って、外国で働きたいと思っていたんです。サッカーが好きなので、できればサッカー関係で働きたいなと思っていました。それでお金を貯めようと思って、実家の「フェルム山川」でアルバイトをしたのですが、そのうち両親だけでやっていくのは大変だろうなと思うようになって。1人入れば楽になるだろうと実感したので就農したんです。

今もご両親と3人で主穀作を?
 父と兄と私の3人で水稲、大豆、大麦を作っています。会社とは別に私個人として、一昨年から防除を減らした低農薬米を栽培して知り合いに販売しています。本当は全部の田んぼで作りたいのですが、1人の会社じゃないので、そういうわけにはいきませんね。他に、桃も作っていて4年目になります。収穫できるのは5年目ですかね。

農業にとって大切なものとは?
 一昨年まで県青年農業者協議会の副会長を務めていましたが、私も含めて若者の多くは「売る・買う」しか頭にないんです。もちろん商売も大事ですが、コミュニケーションをとるという農業の大事な役割を忘れているのではと思っていました。そこで、低農薬米の田んぼの1枚を区切って無農薬米を作り、サッカー少年たちに実習体験をさせたんですよ。少年たちにとってはボールもグラウンドもあって当たり前だと思うんです。でも、それは親に買ってもらっているんですよね。それは農業も一緒。田んぼや水があるのは当たり前ではなくて、近所とのコミュニケーションがあっての話ですから。スポーツも農業も地域密着でないと成り立たないと思うんです。こういうことを少年たちに伝えたかったんですよ。きっと彼らは何かを感じてくれたはずだと思っています。こんなに色々な人とつながりがもてるというのは農業だけだと思うので、それを活かしていかないと。この考えは自分の芯みたいなものなのでブレたくないですね。

その考えは農業をしていくうちに強くなっていったのですか?
 農業って家に居るので、在所の人に「お前出てくれ」とか何かと頼まれやすいんです。最初は嫌だったのですが、頼まれることの有り難さは感じていたし、相手の思いに応えようとも思っていました。そうでないと、初代で農家を築いてきた父の顔も潰すことにもなりますから。


日々、心がけていることは?
 視野を狭めずに、色々なところにアンテナを張り巡らせるようにしています。女性や都会の友だち、企業の社長など色々な人の意見を聞くようにしていますね。すると、農業に対して素晴らしい価値観を持っている人に出会えることがあるので、まだまだ色々な人に出会わないとと思いますね。

これから挑戦したいことは何ですか?
 今の面積のままでやっていきたいんです。その代わり、すごくこだわって作りたいですね。土づくりをメインにした田んぼづくりをしたいんです。一気に変えるのは無理ですが、少しずつ変えていきたいです。これはすべて個人的な意見ですけどね(笑)。もちろん、会社を潰すわけにはいかないので、商売繁盛も考えていかなければいけませんが、本当の農業とは何かということを人に教えていきたいなと思っています。不甲斐ない自分ですけど、ちょっとでも伝えられることがあればいいなと。

お父さんの考えなどで、印象に残っていることはありますか?
 40年農業に携わっている父から、米づくりの難しさについて聞かされた時のことが一番印象に残っていますね。農業は奥が深いなと思います。私は13年目だから、まだまだたくさん勉強しなければなりません。1年1年を大事にしていきたいと思います。

新規就農する方にメッセージを
 マイ・ジェネレーション。俺達の時代です。農業を盛り上げていきましょう。

■現在の経営内容
水稲          22ha
大豆          16ha
大麦          10ha
桃           10a


■将来の経営構想(平成23年以降の目標)
・面積は維持
・土づくりにこだわる
・よりコミュニケーションを図る


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